展示室
『外海の人々を貧しい生活から救いたい』
<国指定重要文化財>旧出津救助院(きゅうしつきゅうじょいん)は、フランス人マルコ・マリー・ド・ロ神父の、カトリック信仰を礎とした深い人類愛によって設立された授産活動の場で、現在の長崎市西出津町出津文化村エリアに位置しています。19世紀に建てられたこのような複合施設が教会ととも大切に保存されており、大変貴重な資料となっております。
◎旧出津救助院施設
・授産場(国指定重要文化財)
・ド・ロ塀(国指定重要文化財)
・マカロニ工場(国指定重要文化財)
・製粉工場(長崎県指定史跡 ド・ロ神父遺跡)
・薬局(長崎県指定史跡 ド・ロ神父遺跡)
展覧会は第1展示室を授産場、第2展示室をマカロニ工場とした2部構成です。
旧出津救助院から車で6〜7分、大野教会の近くにあるcafe OZIMOCさんにも版画作品「旅の小舟」と「椿」を展示して頂いております。ブローチやグリーティングカードもございますので、お立ち寄りの際はぜひご覧いただけると嬉しいです。cafe OZIMOCさんは金・土・日・月の11:00~17:00オープンです。お出かけ前にカフェのInstagram @cafeozimocをご確認ください。
<第1展示室 授産場>
1階
大型作品|
1. 島の記憶 Memoir of the Islands
制作年:2019
サイズ:1200×7200
技 法:木版画 刺繍
素 材:紙 糸 水性インク
太古の昔より人々は五島の島々を船で渡り旅をした。
倭寇も南蛮人もキリシタンも。
2. 旅の小舟
制作年:2022
サイズ:多種
技 法:版画 折り紙
素 材:紙 水性インク 油性インク
キリシタンは外海から小舟にのり五島へと旅立った。
「五島キリシタン唄」
五島へ五島へと皆行きたがる。
五島はやさしや土地までも。
五島へ五島へと皆行きたがる。
五島はいなかの襟を見る。
五島へ五島へと皆行きたがる。
五島は極楽来て(行って)みて地獄。
五島は極楽行てみりゃ地獄。
二度と行くまい五島のしま。
1階 右手奥
3. バスチャンの椿 Camellia of Sebastian
制作年:2021
サイズ:950×950
技 法:木版画 刺繍
素 材:紙 水性インク 糸 洋箔 貝
日本人伝道士バスチャンが樫山で活動していたころ、赤岳の麓の山中にあった1本の椿の木に指先で十字を記した。すると、その十字の形が木の表面にはっきりと残ったという。
2F
4. わたしはあなたに向かって両手を広げ Expand mania meis as te
制作年:2017
サイズ:1200×1680
技 法:リノ版画 刺繍
素 材:紙 水性インク 糸 洋箔 貝
女子美術大学美術館所蔵
天正遣欧少年使節は長崎港からポルトガル船に乗りヨーロッパへ向けて旅立った。
かまどのある部屋
5. オラショ Oratio
制作年:2022
サイズ:2000×2400
技 法:リノ版画 刺繍
素 材:紙 水性インク 糸 洋箔
ポルトガルで見たアズレージョという青い美しいタイルは北アフリカにいたムーア人がスペインを経由してポルトガルにもたらした。キリスト教の国にイスラムの影響が土着の文化として根付いている。ふわふわゆらゆらとカーテンのように漂う壁ならばもっと平和に暮らせるのでは。
階段
6. おまぶり Omaburi
制作年:2022
サイズ:25×25
技 法:切り紙
素 材:紙
小さな和紙を十字に切り
大切に懐に忍ばせた。
<第2展示室 マカロニ工場>
肖像|
7. マリア観音 Maria Kannon
制作年:2016
サイズ:95×150
技 法:ゴム版画
素 材:紙 水性インク 洋箔
観音像をマリア像に見立て
ひそりと拝んだ。
8. セビリヤの聖母 Virgin of Seville(Virgin De La Antigua)
制作年:2017
サイズ:230×290
技 法:リノ版画 刺繍
素 材:紙 水性インク 洋箔 糸 貝
セミナリヨの画学生が制作した銅版画ををもとにリノ版画で模刻した。
9. 雪のサンタマリア Yuki no Santa Maria
制作年:2022
サイズ:225×300
技 法:リノ版画 刺繍
素 材:紙 水性インク 洋箔 アルミ箔 糸 貝
農家の家で竹筒に入れられ大切に守られてきた雪のサンタマリア。
10. ルドヴィコ茨木 Ludovico Ibaraki
制作年:2016
サイズ:180×240
技 法:リノ版画 刺繍
素 材:紙 水性インク 洋箔 糸 貝
ルドビコさまは 十二才
耳をそがれて しばられて
歩む千キロ 雪の道
ちいさい足あと 血がにじむ
(作詞・永井隆)
11. マルク・マリー・ドロ神父 Marc Marie de Rotz
制作年:2022
サイズ:230×300
技 法:リノ版画 コラージュ
素 材:紙 水性インク 洋箔 糸 貝
ド・ロ神父は、外海の人々のあまりにも困窮した生活に衝撃を受け、「外海を助けたい」という強い使命感を持ったといわれている。信仰の拠点として出津教会堂、大野教会堂を建設したほか、授産・福祉施設を設立し、開墾地で農業を教えた。また港を整備して漁民を助け、村の道路整備も裏で支えた。診療所や伝染病治療など医療救護事業を通して多くの命を救うなど、多彩な才能で外海のために尽くした。しかもこれらはすべてド・ロ神父の私財を投じての愛のおこないであった。
12. 種まく人 The Sower
制作年:2022
サイズ:230×350
技 法:ゴム版画 コラージュ
素 材:紙 水性インク 洋箔 糸 貝
「種を蒔く人が種まきに出て行った。蒔いている間に、ある種は道端に落ち、人に踏みつけられ、空の鳥が食べてしまった。他の種は石地に落ち、芽は出たが、水気がないので枯れてしまった。他の種は茨の中に落ち、茨も一緒に伸びて、押しつぶされてしまった。また、他の種は良い土地に落ち、生へ出て、百倍の実を結んだ。」2022年10月29日出津教会 夜のミサより。
風景|
13. 富江 Tomie
制作年:2018
サイズ:230×310
技 法:ゴム版画 コラージュ
素 材:紙 水性インク 洋箔 糸 貝
2018年に3ヶ月ほど滞在した町、
福江島富江町。
14. 外海 Sotome
制作年:2022
サイズ:230×310
技 法:リノ版画 コラージュ
素 材:紙 水性インク 洋箔 糸 貝
2018年から4度訪れこの町で
作品を見て頂けることになりました。
15. ヴォスロール Vaux-sur-Aure
制作年:2022
サイズ:200×300
技 法:ゴム版画 コラージュ
素 材:紙 水性インク 寒冷紗 糸 洋箔 貝
ド・ロ神父のヴォスロールにある生家。
植物|
16. 椿 Camellia → 1.椿のみ大野教会近くCafe OZIMOCにて展示中
制作年:2021
サイズ:210×295
技 法:木版画 ゴム版画
素 材:紙 水性インク 糸 洋箔
ポルトガルのシントラの茂みで見た椿は
赤岳でバスチャンが指先で十字を記したあの椿だったのでは。
17. ゆうこう Yuko
制作年:2021
サイズ:240×320
技 法:木版画 刺繍
素 材:紙 水性インク 洋箔
キリスタンの里にのみ自生する柑橘。
18. ぶどう Grapes
制作年:2022
サイズ:225×285
技 法:リノ版画 刺繍
素 材:紙 水性インク 糸 貝
外海でお世話になっている方の娘さんの名前にちなんで。美しい枝。
「わたしはまことのぶどうの木であり、わたしの父は農夫です。」
新約聖書より
19. ざくろ Pommegranies
制作年:2022
サイズ:200×250
技 法:木版画 刺繍
素 材:紙 水性インク 糸 貝
「ベールの陰のこめかみはざくろの花」
旧約聖書より
20. いちじく Figs
制作年:2021
サイズ:200×250
技 法:木版画 刺繍
素 材:紙 水性インク 糸 貝
ぶどう園の持ち主がぶどう園にいちじくの木を植えていた。彼は実を捜しに来たが見つからないので、園丁に「これまで3年間待っているが実がならない。土地がむだになるから切ってしまいなさい」と言った。すると、園丁は「ご主人様、もう1年待ってください。まわりを掘って肥料をやってみますから。そうすれば実がなるかもしれません。それでもだめだったら切り倒してください
新約聖書より
オブジェ|
21. 紙の花輪 FLower Wreath
制作年:2022
サイズ:250×250
技 法:ハイブリット版画 コラージュ 刺繍
素 材:紙 糸 水性インク 洋箔 針金
エデンの園に咲く花で作られた花輪。
22. 紙のロザリオ Rosario
制作年:2022
サイズ:50×500
技 法:ゴム版画 コラージュ
素 材:紙 糸 洋箔 水性インク
10月はロザリオの月。